●症状 慢性関節リウマチは、手や指の関節痛や起床時のこわばりなどの症状から始まり、肘肩首や膝足首股関節などの全身の関節痛が生じる疾患です。主に、30~40代の女性に多く人口の0.5%(200人に1人)にみられます。原因は自己免疫を基調とした関節の内側の滑膜の炎症で起こります。病態はさまざまですが、罹患しても、20%は1~2年で自然寛解し、65%は症状の増悪と軽減を繰り返しますが残りの15%は進行性で症状発現から20~30年で歩行不能となり、寝たきりになることもあります。進行性では人工関節置換術などが必要になることもあります。 |
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当院での慢性関節リウマチの治療と特徴
(1)あせりは禁物ゆっくり直す当院のリウマチ治療では、リウマチ治療の第一選択薬となっているリウマトレックス(メソトリキセート)やリマチルなどの内服薬を基本にしています。これらの抗リウマチ薬と各種の消炎鎮痛剤を用いますが、それでも充分な鎮痛効果がない場合には少量のステロイド剤の内服や注射薬を使います。
治療目的は関節痛を軽減して日常生活で不自由しないようにし、罹患関節の変形を防いで将来のADL(日常生活レベル)への不安を解消するように努力しています。リウマチの痛みと変形の防止を最重点にして治療に取り組んでいますが、投与薬剤による副作用の発現にも充分な配慮をしています。定期的な血液生化学検査での肝臓、腎臓、などの機能低下を定期的におこないます。また、呼吸器の定期検査を行っています。定期的な胸部レントゲン検査、酸素飽和度測定、体温、風邪症状など細かくチェックしています。以上に述べた従来の治療法で治療効果を得ることができますが、関節の腫れと痛みがとれず変形が進行性であるリウマチの患者様が少なからずおられます。それに対して有効となる治療薬の開発が久しく待たれていましたが、最近新しいリウマチ治療薬「生物学的製剤」が開発され強力な治療効果があることがわかりました。
これまでのリウマチの治療法は、進行をやや遅らせ、痛みへの対処が主でしたが、新薬である生物学的製剤(商品名エンブレル、レミケード)は、まったく異なる作用機序でリウマチの根本治療につながり、関節の破壊を防ぎ関節の痛みや腫れを劇的に改善します。慢性関節リウマチに履患すると5年以内に関節変形に伴う痛みと不便さから就労が困難になって失職することもまれではありません。関節破壊を防ぐことで手足の変形への恐怖が無くなり将来への不安も解消され精神的にも安定します。非常に治療効果の高い薬剤ですが、やや免疫力の低下が起こるための副作用がまれに出現することがあります。その点に充分な注意を払い安心して治療できることに最大限配慮し治療に取り組んでいます。具体的には、生物学的製剤の導入前には肺結核の有無をみるため胸部レントゲン検査、血液生化学検査を実施しています。また新薬導入後も定期的に血液生化学検査と臨床症状と治療効果判定をもれなく正確にし、重大な副作用がないことを確認しています。
新しいリウマチ治療薬「生物学的製剤」の作用機序
慢性関節リウマチの患者様では、TNF(腫瘍壊死因子)という炎症物質の産生が亢進していますが、このTNFが関節炎や関節破壊の主要原因になっています。新しいリウマチの治療薬である生物学的製剤は、いずれもTNFの抗体やレセプターに働きかけることで抗リウマチ作用・抗炎症作用し、関節の痛みと関節の破壊を強力にブロックして優れた治療効果をもたらします。
最近の臨床治験データーでは、リウマチの関節破壊の進行を遅らせるだけでなく、関節軟骨を再生しADLが向上する患者様も多くなっています。保険適応の薬剤ですが、けっして安いお薬ではありません。それでもリウマチの不可逆性の関節破壊は、痛みや生活の不自由さのみならず就労困難で失職して収入減に陥り生活苦になってしまうこともまれではありません。
新しい生物学的製剤は現在の生活レベルを保持し失職の恐怖から解放されるすぐれた薬剤です。